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八雲製菓株式会社

2026年6月29日

働きやすい環境作りや若手社員の育成に向けた評価制度の創設と公的支援の活用

八雲製菓株式会社

事業内容:菓子の製造・販売

業種
菓子製造業
地域
山梨県
従業員数
50人~99人
取り組みの概要
  1. ポイント1

    直面していた課題

    • 若手の育成・技術の継承
    • 社員の高齢化
    • 設備や人材育成への投資が難しい
  2. ポイント2

    取組と成果

    • タブレット導入、後進育成を重視する社内評価制度の創設
    • 社長面談等で社員の事情を把握して休みやすい風土に
    • 補助金等の活用で設備の更新や社外研修への派遣が可能に
取り組みの成果
働きやすい環境作りや若手社員の育成に向けた評価制度の創設と公的支援の活用

※本記事の内容、役職、部署名は取材当時のものです

昔ながらの製法を大切に、甘納豆を始めとする菓子の製造・販売を展開する八雲製菓株式会社。社員の高齢化や設備の老朽化が進む中、働きやすい環境の整備と若手育成に向けた取組の内容、社員の声をご紹介します。

タブレットと社内評価制度の創設で若手育成を推進

当社は、甘納豆やペクチンゼリー等を主力商品とする菓子を製造・販売しています。「伝統的な菓子の味と技術を追求し、明日のお菓子文化を創造する」という経営理念の下、手間を惜しまない製法を守り育てながら75年の歴史を重ねてきました。

長年勤務している社員が多く、年齢構成は10~30歳代が24%、60歳以上が44%と高年齢化が進んでいます。

これまでは、シニア社員が元気に働いてくれていたこともあって新規採用をしばらくしていませんでしたが、次の世代のことを考え、この2~3年は積極的に若手社員を迎え入れています。

タブレットで作業手順や作業状況を確認
タブレットで作業手順や作業状況を確認
評価基準(一部抜粋)
それぞれの業務内容の評価基準が等級に応じて明確化されている

若手社員への技術継承とシニア社員の負担軽減を目的として、工場にタブレットを導入しました。

熟練の社員が作業している様子を撮影した動画をタブレットに収録し、若手社員が作業手順や技術を視聴できるようにしたり、取引先から受注した商品名や数量、納品先といったデータをタブレットに転送して、画面を見ながら作業を行い、完了したらチェックを入れることで進捗を確認・共有できるようにしたりするためです。さらに、タブレットと同じ画面を表示できる65インチのモニターを工場内に設置して、シニア社員でも見やすいようにしました。

導入当初は、タブレット機器に触れたことのないシニア社員には拒否反応がありましたが、操作に馴染みのある若手社員に教わることで、すぐに慣れて「これは便利だ」と積極的に活用するようになりました。

これまでの紙による進捗管理と比較すると、記録や確認がスムーズになり、作業負担が軽減しました。また作業状況を全員で共有できるようになったので、業務が効率的になり正確性も向上しました。

若手や新人社員は、業務を早く正確に覚えられるようになり、技術の継承と習熟度の向上につながっています。

また、タブレット導入とほぼ同じ時期に、社内評価制度を創設し、給与や賞与に反映するようにしました。

特徴は、若手社員とシニア社員で異なる評価基準を用いている点です。若手社員には、まず6段階の等級を設定し、職種毎の業務内容が各等級の水準を満たしているかで評価します。65歳以上のシニア社員の評価基準は、自分のことだけでなく後輩への指導にウエイトを置いています。

管理職には評価者研修を実施。客観的で公平な目線で評価ができるように例題を取り入れる等して、徐々に評価の精度を向上させています。

これまでは賞与が全員同額、しかも少額でしたが、社内評価が給与だけでなく賞与にも反映されるようになったことで社員は努力が結果に結び付くと感じており、特にシニア社員は若手育成に対する意識が強まっています

休暇取得や外部研修への参加がしやすい風土作り

代表取締役社長の石井さん
「利益を上げて社員に還元したい」
代表取締役社長の石井さん
「利益を上げて社員に還元したい」

シニア社員には今後も長く元気に働いてもらいたいので、定年の延長と選択定年制度を導入しました。定年は65歳まで、それ以降は1年毎に契約を更新する制度としており、現在最高齢は77歳です。働き方も柔軟にして、勤務時間を1日当たり1~3時間短縮したり、1日出勤して1日休んだりするといった選択が可能です。

シニア社員のみならず、子育て世代も必要な休暇が取れるよう育児・介護休業制度を整備し、家族の状況に応じて休暇を取得し、安心して働き続けることができる環境を整備しました。

なお、期間の長短に違いはありますが、全社員が有給休暇を取得できるようになりました。

先代の頃から家庭的な雰囲気を大切にしてきましたが、現在は社長が全社員と定期的に面談を行い、本人の体調を始め、介護や子育て、お孫さんの存在といった家族の状況等、個人個人が抱える事情をしっかり把握することで、社員が休みを取りやすくしています。また社員はお互いの事情に理解を寄せ、休みが必要な時は休めるように協力し合うことで、休みやすい風土になってきました。

休みやすい風土になることで、外部研修にも社員を派遣しやすくなっています。

若手社員には育成のために外部の研修に参加してもらっていますが、受講者は周囲の協力を受けることで、業務の心配をすることなく研修を受けることができます。

補助金や公的支援等を活用することで、設備や人材への投資を可能に

社長付財務部長兼管理課長の金井さん
昔の良いところは大切にしながら、新しいことを取り入れていく
社長付財務部長兼管理課長の金井さん
昔の良いところは大切にしながら、新しいことを取り入れていく

社員が休みを取得したり外部研修を受講したりしやすい環境を作るには、お互いの理解や協力も大切ですが、まず勤務シフトを組めるように社員数を確保しなければなりません。また社内評価を給与や賞与に反映するには、利益が上がらないと実現しません。そのために様々な工夫をしてきました。

例えば、商品の構成比を変えてムラのあった工場の稼働率を平準化したり、菓子の原材料である砂糖の適切な量を探る実験を行ったりしました。こうした工夫により、品質を落とさずコストを削減するといった、これまでやってきたことを続けるだけでは得られない成果を出すことができました。

そして特に目を向けて活用しているのが、補助金や助成金を始めとする国や県、公的機関等の支援策です。

工場は長年稼働していて設備の老朽化が進んでおり、また夏は暑く冬は寒いため、特に年々体力が衰えるシニア社員の作業負担を減らしたいと考えております。

中小企業にとって設備投資は難しいですが、補助金や助成金を活用することで実現の可能性が高まります。業務改善助成金やエイジフレンドリー補助金、デジタル化・AI導入補助金等を使って、作業自動化の機械や新型のボイラー、大型エアコン、タブレット等を導入することで、光熱費等のランニングコスト削減や作業効率の向上が実現して利益の向上につながり、給与や賞与の増額が実現しました。

人材育成についても、自前で研修体制を構築するのは難しいですが、県立中小企業人材開発センターなどを利用すれば、社員に一定水準の研修を受講してもらい、他社で働く人と出会って刺激を受ける機会を作ることができます。

なお、これまで取り組んできた選択定年制度や育児・介護休業制度の整備、社内評価制度の創設等は社会保険労務士の助言で実現したのですが、その方は元々は5回まで無料で相談できる県の制度を利用した際に出会った方で、現在は月1回当社に来ていただいています。

このように、補助金や公的支援策に目を向けて積極的に活用することで、資金が限られていても設備や人材への投資が可能になり、働きやすい環境作りや社員の育成が進んでいます。

社員の方の声

入社55年目、70歳の天野さん
現在の社長が生まれる前からこの会社で働いている
入社55年目、70歳の天野さん
現在の社長が生まれる前からこの会社で働いている

天野さん

会社が工場にエアコンを入れてくれたので少しは楽になっていますが、身体のことを考えて、今年から1時間早く帰る制度を選択しました。

昔はベテラン同士の言い合いのようなこともありましたが、今はなくなって良い雰囲気です。それは、外から新しい人たちが入社して来たからだと思います。昔からのメンバーだけで仕事をしていると閉鎖的になってしまうので、若い人が入って来るのは良いことだと思います。

若い人だからといって特別な接し方をするわけではなく、他の社員とスタンスで接しています。若い人達は覚えるのが早いので、自分が教わってきたことをどんどん教えていきたいと思います。

入社33年目、67歳の長田さん
「会社は家庭を優先させてくれるのでありがたい」
入社33年目、67歳の長田さん
「会社は家庭を優先させてくれるのでありがたい」

長田さん

立ち仕事で前屈みの姿勢が続くため腰が痛く、病院に通いたくて社長に相談したところ、週1回休める制度があるということを知り、3日出勤して1日休んでまた1日出勤という週4日勤務にしてもらいました。

また、認知症の姑のケアをしながら働くのが大変だった時には家庭を優先させてくれて、とてもありがたかったです。だから長く働くことができるのだと思います。

私が入社した頃は年配の社員から色々言われたので、若手社員には自分の考え方を押し付けないようにしていて、「分からないことがあったら聞いてね、分かることは教えるから」と伝えています。何でも話せるのは大事なことなので、若い人とのコミュニケーションを大事にしていきたいと思います。

若手社員の成長機会を更に作って会社に好循環を生み出す

設備や人材への投資で業績が向上し、賞与も随分出すことができるようになりました。

最近はホテルでの決算発表会や、各部署に年間計画をプレゼンしてもらう場の設定、業務改善や新商品の提案を募集する等、社員と経営層の風通しを良くする取組も進めてきました。

ただ、社員の高齢化や設備の老朽化は進んでおり、まだまだ課題は山積みです。シニア社員に健康で働いてもらうための環境作りも引き続き大切にしながら、設備投資をして、若い社員の採用と育成を進めていきます。

特に、若手社員には積極的に外部の研修に参加してもらうことで、刺激を受け、様々な経験を積み重ねて社内に持ち帰ってもらい、さらに利益を出して社員に還元するという好循環を生み出していきたいと考えています。

本事例に該当する

職場における学び・学び直し促進ガイドラインのⅡ 労使が取り組むべき事項

Company data企業データ

八雲製菓株式会社
代表取締役:石井 勲
所在地:山梨県甲府市池田2丁目4-23
従業員数:52名(2026年3月現在)
創業:1950年
資本金:2,000万円
事業内容:菓子製造・販売
企業HP: https://yagumo-seika.jp/

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