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株式会社恵那川上屋

2026年6月29日

従業員の「関係の質」の向上を軸に、働きやすく活躍できる職場を実現

株式会社恵那川上屋

事業内容:菓子製造販売・食材栽培

業種
菓子製造業・小売業
地域
岐阜県
従業員数
300~999人
取り組みの概要
  1. ポイント1

    直面していた課題

    • 長時間労働とトップダウンによるマネジメントで職場の雰囲気が良くない
    • パートの評価制度を作ったものの、リーダーになりたがらなかったり上下関係を気にするパートがいたりして機能しにくい
    • 技術を見て学ぶ職人特有のやり方で若手の離職率が高い
  2. ポイント2

    取組と成果

    • 店長等への研修に「セルフマネジメント」と従業員との「関係の質の向上」を取り入れることで、職場での会話が増えて従業員の自主性重視に
    • パートの役割ランクを見直し、店舗運営が円滑に
    • 階層別・職能別の研修制度を整備し、若手の離職率も改善
取り組みの成果
従業員の「関係の質」の向上を軸に、働きやすく活躍できる職場を実現

※本記事の内容、役職、部署名は取材当時のものです

栗の栽培から販売までのサプライチェーンを構築して和洋菓子商品の製造・販売を手掛け、「全国モンブラン大会」での優勝実績もある株式会社恵那川上屋。店長等への研修を始めとする従業員が働きやすい環境作りに向けた取組の内容、社員の声をご紹介します。

店長等への研修とパート評価制度の見直しで従業員が活躍できる店舗に

総務人事部 部長の清見さん
自分の考えや方法を押し付けないことを大切にしている
総務人事部 部長の清見さん
自分の考えや方法を押し付けないことを大切にしている

当社は、岐阜県恵那市を拠点に栗を核とした和洋菓子の企画・製造・販売を一貫して行う菓子企業です。生産者とともに「恵那栗」のブランド化に取り組みながら、栗きんとんや焼き菓子、サブレ、洋菓子など多様な商品を開発し、岐阜県・愛知県・東京都の13店舗とオンラインショップで販売しています。

これまでは「技術は見て学べ」という職人特有のやり方で若手社員を育成する体制が整っていなかったので、若手社員の離職率が高く、特に新入社員はなかなか定着しませんでした。また、繁忙期には残業が月に100時間を超える社員がいる等、勤務時間が長く、休みも少ないという環境でした。

店舗では、従業員は忙しくて疲れているためか、発する言葉がきつい口調になり、聞く側も怒られたと受け取ってしまうという具合に雰囲気が良くありませんでした。

こうした状況から、従業員が働きやすい会社にする必要性を痛感し、「当社の代表者は現場の従業員。従業員は商品の良さをお客様に伝えてくれて、商品を供給してくれる、大事な存在」という認識を持って、きちんと仕事をしていただいている従業員に今後もずっと働いていただける会社にしようと考えました。

まずは勤務時間の削減と休日の増加に着手しました。変形労働時間制を取り入れ、1年間の中で業務の繁閑に応じ労働時間を配分できるようにすることで、残業時間が減少しています。また休日の日数も少し増やし、今後も段階を踏んで少しずつ増やしていく予定です。そのために、菓子製造の機械を導入したり、店舗のレジを変更したりといった業務の効率化も進めました。

店長等への研修資料
「関係の質」を高めることで信頼関係を高め、結果として成果が出せる人材を育成する
店長等への研修資料
「関係の質」を高めることで信頼関係を高め、結果として成果が出せる人材を育成する

次に着手したのが、店長等へのマネジメント研修です。

研修ではコミュニケーションやリーダーシップ、1on1の方法といった基本的な内容も扱いますが、これらは頭では分かっていても、忙しくて焦ったりイライラしたりすると実行できなくなることから、心を整える「セルフマネジメント」も取り入れることにしました。

結果が出ないときに、店長等がパートや若手社員等の従業員を怒ったり仕事のやり方を押し付けたりして関係を悪くすると、さらに結果が悪くなるという悪循環から脱却して、お互いを尊重して一緒に考えるという、従業員同士の「関係の質を高める」ところから取り組むことで、遠回りだけれど良い結果につながるという好循環を作るのが重要だという話をしています。

その上で「良い店長とは」というテーマでディスカッションを行い、店長と従業員、また従業員同士の「関係の質」を高めるために必要な言動を考える機会を作りました。

すると、店長等が従業員に仕事を任せたり声を聞いたりできるようになりました。例えば、店長がお客様のためと思い指示していた販売方法がうまくいかず、やり直しが発生して時間がかかっていたのが、うまくいく方法を従業員みんなで検討するようになったところ、無駄な作業がなくなって売上も向上するといったケースです。

店長等が従業員の自主性を尊重することで従業員が意見を出しやすくなり、職場の雰囲気が良くなるとともに、従業員は活躍できる機会が増え、彼ら・彼女らのやりがいや成長につながるようになってきたと思います。

また、パートの評価制度を見直しました。

当初は3段階のランクを設定し、それに応じて時給が上がる仕組みにしようとしたのですが、パート同士の上下関係ができてしまうことを気にしたり、リーダーはできないと言う方もいたりして、うまく機能しませんでした。

そこでランクを2段階に減らして、「リーダー」ではなく「複数のパートのまとめ役」や、社員に意見を伝えてパートとの橋渡しをしてもらう等、役割を限定して、社員の代わりの仕事ができる方に少し手当を支払うという形にしました。

すると、パートが動きやすくなって店舗運営がうまく回り出し、今では社員がいなくなるよりまとめ役のパートがいなくなる方がお店にとって痛手になるくらいになっています。

この成果を受けて、現在パート比率を高める店舗運営を試行中で、今は1店舗だけですが今後は他店にも導入していければと考えています。

「技術は見て学べ」から脱却するために若手社員向け研修制度を整備

これまでは「技術は見て学べ」という職人特有のやり方であり、体系立てて若手を育成する体制が整っていなかったため、研修制度の整備を少しずつ始めています。

まずは階層別に、入社1年目はビジネスマナーや会社理解、2年目になるとコミュニケーションやチームワーク、PDCAサイクル、3年目にはタイムマネジメントや課題解決、計数管理、プレゼンテーションやネゴシエーションといった研修を用意しています。

また専門スキルを磨く職能別研修として、販売員向けの接遇研修やマーケティング研修、菓子製造部門では外部講師を招いての洋菓子研修等を行っており、いずれは菓子技能士を取得できるカリキュラムにしていきたいと考えています。

こうした研修の他に、実務を通した学びの機会として「感謝祭プロジェクト」があります。「感謝祭」とは本社併設の店舗で毎年開催する、地域の方々約5,000人に参加していただくイベントで、その企画・運営を入社3年目の全社員にプロジェクト形式で担当してもらっています。メンバーは所属する店舗・部署をまたいで横断的に活動し、感謝祭の運営を経験した先輩社員に助言をもらいながら、企画に必要な商品知識、主要な材料である栗の生産に関する情報、また自分の所属以外の店舗・部署の業務内容を理解することで、菓子を取り扱う会社の社員としてステップアップしてもらう機会にしています。

従業員の方の声

「素晴らしい店員がいる」と地域で評判の兼田さん
可児御嵩インター店の販売員で、入社20年目を迎え定年を延長する
「素晴らしい店員がいる」と地域で評判の兼田さん
可児御嵩インター店の販売員で、入社20年目を迎え定年を延長する

兼田さん

長い間この会社にいますが、良い会社になったと思います。

これまではみんな忙しくて疲れ切っていたし、言葉がきつくてピリピリしていました。上司から褒められることなどほとんどなくて、やるべきことを指示されたり汚れている箇所を指摘されたりするばかりで、みんな委縮していました。でも最近は褒めてくれるし、気軽なコミュニケーションが取れるようになりました。上司を含め、従業員がお互いのことを理解し合えるようになっているので、ちょっとしたことで衝突することなく、相手の言いたいことを受け止められるようになったと思います。

今の店長は、上から抑え付けたり頭ごなしに指示したりせず、お客様の欲しているものが一番分かる従業員に自由にやらせてくれています。これまで様々なお店で働いてきましたが、理想として思い描いていたお店が実現しています。このようなお店を作った店長はもちろん、そうさせている上司もすごいなと感じています。

可児御嵩工場のパート・牧野さん
「ちょっとしたことでも褒めてもらえるので、楽しく働けています」
可児御嵩工場のパート・牧野さん
「ちょっとしたことでも褒めてもらえるので、楽しく働けています」

牧野さん

4年前に入社した際「お客様はもちろん大事にするけれど、社員も大事にする会社」という説明を受けたのですが、本当にそうだなと思っています。工場長は何気なく自然な感じで「ここまで出来てすごいね」とか、ちょっとしたことでも褒めてくれるので、嬉しくてやる気が出ます

新しい機械が入った時などは覚えることが多くて大変ですが、覚えてしまうと楽しくなって、また違うことを覚えたいと思えますし、忙しい時期は大変ですが、社員の方はパートが働きやすいように準備してくれるので、私も頑張ろうと思えます。楽しく働けているので、体力が続く限り働かせていただきたいです。

働きやすく自主性が発揮できる環境作りで組織の好循環を目指す

今後の課題の一つは、社員の評価制度の改善です。現在は目標管理型の評価制度を取り入れていますが、目標設定や評価基準に課題があって機能しているとは言い難く、評価のための評価になっています。これを改善するために、何ができているから何点で、どこを頑張れば点数が上がるのかが分かるような評価制度を目指して検討中です。

当社の良い店舗は、お客様に喜んでもらえる商品の提供と接客対応によって、ほとんどのお客様が笑顔で帰られて、感謝の言葉をたくさんいただいています。そういった店舗を増やせるように、店長等への研修で扱っているようなコミュニケーション促進の要素と組み合わせた評価制度を構築できればと考えています。

これから目指したいのは、従業員の取組で生産性が高まって利益が増え、人件費や設備投資ができるようになって働く環境が整備され、それが従業員のモチベーション向上につながり、人が集まる会社になって多様な才能による集合知が増えて、さらに生産性が高まっていくという好循環が起こる組織です。

これを「恵那川上屋ネイチャーマネジメント」と名付けて、 従業員の自主性を生かして組織の好循環が自然に起こるきっかけ作りを進めています。店長等への研修を始めとした店舗作りもその一つです。

当社には良い従業員がたくさんいるので、働きやすい職場作りを考えていけば、この循環が実現できるのではないかと思っています。まだまだこれからですが、試行錯誤しながら頑張っていきます。

本事例に該当する

職場における学び・学び直し促進ガイドラインのⅡ 労使が取り組むべき事項

Company data企業データ

株式会社恵那川上屋
代表取締役:鎌田 真悟
所在地:岐阜県恵那市大井町2632-105
従業員数:339名(2025年6月現在)
創業:1964年
資本金:8,000万円
事業内容:菓子製造販売・食材栽培
企業HP: https://www.enakawakamiya.co.jp/

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