2026年6月29日
「社員が主役」となって学び合い、刺激し合うことで、人も企業も成長を続ける
株式会社トーケン
事業内容:建設総合サービス業
- 業種
- 建設業
- 地域
- 石川県
- 従業員数
- 50人~99人
- 取り組みの概要
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ポイント1
直面していた課題
- 過当競争・コスト競争で厳しい経営状況
- 技術力・提案力の不足から受注できる案件が限定される
- 新人教育を現場OJTに任せて離職が問題に
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ポイント2
取組と成果
- 社員を講師とした学び合う場を作り、成長と刺激、連帯感を生み出す
- 大手の定年退職者を招き指導を受けることで技術力が向上、受注規模が拡大しシニアの働きがいにも
- 5カ月に及ぶ新人研修により離職が減少、資格取得支援で技術の向上を後押し
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- 取り組みの成果
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「社員が主役」となって学び合い、
刺激し合うことで、人も企業も成長を続ける
※本記事の内容、役職、部署名は取材当時のものです
「人を大切にする地域スーパーゼネコン」を目指し、建築物の企画・設計・施工から土地開発、マンション管理まで建設に関する幅広い事業をワンストップで展開する株式会社トーケン。「社員が主役」の企業づくりに向けた学び合い・新人研修の充実化・技術の伝承に向けた取組と、社員の声をご紹介します。
学び合い、刺激し合う、社員が講師の「胎動塾」

2000年代の長引くデフレ経済とリーマンショックが吹き荒れた建設業淘汰の時代は、過当競争、コスト競争もあって地方の建設会社としては極めて厳しい経営環境でした。
そんな中で当社が勝ち残るには、社員一人一人のやる気を引き出し徹底的に学んで能力を伸ばし、「社員が主役」の企業となって体質を強くするしかないと考えました。そこで「企業は人 人格陶冶に努める」という経営信条を整備し、「未来への胎動」という企業理念に立ち返りました。
「胎動」とは、古い殻を打ち破って挑戦するという意味があります。厳しい時代でも、未来に向かって挑戦する気概を持って成長していこうという思いを込めています。
この理念を実現するために、2008年から始めたのが「胎動塾」です。

登壇するのは幹部から若手まで、テーマも各部署の取組から会社の成長課題まで多岐に渡る
外部研修だと学ぶのが受講者だけで、すぐに社内全体のレベルアップにつなげるのが難しいため、社員が講師となって発表する形にすることで、発表者自身も学べる全社員の研修の場にしました。
テーマは会長や社長が経営上の課題から設定し、それにふさわしい発表者を指名します。指名された社員は、テーマに沿って話すことを考え、勉強したことや自身の体験から得た教訓などを披露します。
開催は月2回で、幹部クラスと若手が1名ずつ担当します。幹部クラスは全社員が毎月集まる定例会で発表し、若手は「ビデオ胎動塾」として収録した動画を公開。これまで400回以上開催しており、過去の発表動画とスライド資料はいつでも見ることができます。
開催後は社員間で「あの発表良かったよ」等と話題にのぼり、また「ここまでやるか!」という高レベルの発表があった後は、次の発表者に良いプレッシャーになっているようです。
「胎動塾」を通じて、講師となった社員も周りの社員も学ぶ機会を持ち、また仲間の発表を聞くことが刺激となってお互いが高め合う風土と連帯感が生まれていると感じます。
社員の声①自分がやるべきことを整理し、方向性を考える機会に

(Information connect Architecture)
若手主体のBIM専門チームで建築のDX化を牽引する

「胎動塾」では、BIM (Building Information Modeling:コンピュータ上に建物の3Dモデルを構築して設計・施工・運用に関する情報を管理するシステム)の必要性と、入社後の取組や今後の目標を発表しました。
BIMは大学時代に学んだのですが、そもそもどんなものなのか理解していなかったことを入社後に気付き、そこからどれだけ成長してきたか、また、今後どうしていきたいかという思いを伝えました。
自分のような若手が考えを全員に伝える機会はなかなかないので、良いものを作らなければと、2カ月かけて準備しました。何を話せば良いか悩みましたが、自分がやるべきことを整理し、方向性を考えることができました。
また、「胎動塾」をきっかけに自分を知ってもらう機会にもなったと感じています。
会社は一人一人にスポットライトを当ててくれるので、それに応えられる活躍をしたいと思っています。
5カ月に及ぶ新入社員研修・資格試験前2週間は「出勤扱い」

内外の講師による専門的な講義、実務実習、現場研修と圧倒的な充実度を誇る

2015年、建設現場において、新入社員と上司である若手社員の間にトラブルが発生しました。当時は、新入社員の教育は入社後2週間程度の簡単な研修だけで、後は現場でのOJTというように現場に任せっきりでした。現場の責任者間で力量や熱意に差があり、また教える側と新入社員との相性もあってか、離職者もあり、本社からなかなか目が届かない現場での若手育成には問題意識を持っていました。
そこで、新入社員にしっかりした教育機会を作ろうと「トーケンアカデミー」を2020年に開設しました。
4~8月の5カ月間、当社の歴史や経営信条から、各部署の業務内容、専門知識や技術、社会人としてのマナー、人間学まで多岐にわたって学ぶことで、「トーケンマン」として自信を持って現場に入れるようなカリキュラムにしました。
講師は「胎動塾」と同様に社員が務めるので、教える側も学べて、社員同士のコミュニケーションにもつながります。これに加えて、協力企業の方にも講師を依頼し、学校では学べない実際の業務に近い知識や技術を得られるようにしています。
開設当初は講義による座学が中心でしたが、現場を知りたいという新入社員の声を受けて、現場見学や体験の機会を増やす等、新入社員が生き生きと学び成長していけるよう、毎年ブラッシュアップしています。
アカデミーの開設後4年間は離職者が0名で、入社5年後の定着率は95%となっています。
配属後も技術力の向上を後押ししています。建設業においては確かな技術が不可欠なため、その裏付けとなる資格取得を強く推奨していますが、ただ勧めるのではなく、資格取得に当たり複数のサポート制度を設けています。
まずは取得後の報奨金制度。例えば難関国家資格である1級建築士に合格すると、祝い金として100万円を支給し、毎月の給与にも資格手当を加算します。
また、資格取得のための専門学校への通学日と試験前の2週間は、会社に出勤しなくても「出勤扱い」とし、勉強に専念できるようにしています。誰が勉強のため出勤しないのかは朝礼で職場全体に共有しますが、仲間が資格取得に向けて頑張っていることが分かるので、他の社員にとって刺激になっています。
大手を定年退職したベテランの技術を伝承し、会社も社員も成長
「胎動塾」と同じ2008年に導入したのが「技師長制度」「顧問制度」です。
経営環境が厳しかった時代、勝ち残りの方法を考える中で技術力を高める必要性を感じていました。技術力や提案力の不足により受注につながる案件が限定され、また例えば建築設備の分野を外注したとしても、ノウハウの蓄積がないためコストが適正かどうか分からずロスが多くなります。
そこで、大手ゼネコンを定年退職した経験豊富なベテランを当社に招き、技師長や顧問として技術やノウハウを社員に伝授してもらうことにしました。技師長はフルタイム、顧問は週又は月の日数を決めた勤務体系で、これまで営業、設計、施工管理、設備、安全管理等、様々な分野のプロに入社してもらいました。
技師長には「トーケンアカデミー」の講師を始め、実際に社員と一緒に実務に携わりながら指導・助言をいただいています。技術のみならず、これまで積み重ねてきた人生経験や様々な苦労も伝えてもらうことで、社員の人間力の向上にもつながっていると思います。なお「トーケンアカデミー」の校長も技師長にお願いし、カリキュラムの構築や外部講師の招聘等に尽力してもらいました。
技師長の指導によって、これまで外注していた分野の部門をゼロから立ち上げて後進となる社員が育ち、自社の強みとなるような技術と体制が整ってきました。
今ではその部門が当社の強みの一つとなっており、1件当たりの受注金額が10倍以上になる案件もある等、大手が受注するような規模の案件を取り扱うことが可能になりました。地場の建設会社から「地域スーパーゼネコン」を標榜するようになり、技師長が会社としてのステージを上げてくれたと思っています。
社員の声②若い社員の「できるようになった」が私の生きがい

(元設備部技師長・78歳)
たくましくなった若手社員に目を細める
大手ゼネコンを定年退職する際、当時の社長から「会社のレベルアップに力を貸してほしい」と言われて入社しました。とはいうものの、当時は私が専門にしていた設備業務を担う部門がなく、これまで仕事のほとんどを専門会社に外注していたので、当時はこの会社にどう貢献ができるか考えていました。
そこで、40年近くかけて培った経験やノウハウなどを生かしながら若手社員と一緒になって行動したところ、少しずつ彼/彼女らの技術力・管理力が向上していきました。
私の役割として技術指導など活躍の場があり、後に続く若手社員の教育に携わることができて、彼/彼女らがこれまでできなかったことを「できるようになった」と言ってくれるのが生きがいです。
また社員同士に一体感がある企業風土の中で、安心して働き続けられる環境に恵まれ、子供や孫といった年齢の社員と共に働くことがとても楽しく、働きがいにもなっています。
建設DX・IT化が進んで年々業績は向上しており、企業の発展と共に社員もたくましく成長しているので、これからも安心しています。
社員の声③学びながら仕事ができる恵まれた環境だと思います

酢馬元技師長の愛弟子の一人
入社後は大学時代の専攻とは異なる業務を担当することになったため、初めて触れる事ばかりで手探りでしたが、技師長の教えのおかげもあり、分からなかったことが気付いたら分かるようになっているのを実感しています。
「胎動塾」ではこれまで2回発表していて、2回目のタイトルが「新部長を迎えて、設備部での私の役割は重要です。酢馬技師長から教授し、活かしていきます」でした。今までのことを振り返りながら今後の課題を考える機会もあり、学びながら仕事ができる恵まれた環境だと思っています。
これからは技師長がやってくれていたことを担うためプレッシャーですが、しっかりとやっていきます。
建設DXを推進して、さらに「社員が主役」の魅力ある職場に

これからも「社員が主役」の企業を目指し続ける
今後の課題は、若者に「魅力ある職場」と感じてもらい、選ばれる企業になることです。
人が集まって力を発揮できないと、会社は存続・発展できません。今いる社員が更にやりがいを持って、生き生きと働ける職場にする必要があると思っています。
そのために最も力を入れたいのが、建設DXの更なる推進です。一昨年から、属人化されがちな建設技術をAIに学習させる取組を始めています。これを活用して技術レベルを向上させ、より高度な技術の伝承に挑んでいきます。先程紹介したBIMを始め、現場施工管理システムやライブカメラなど様々な建設DXを導入していますが、更に進めて業務の効率化と生産性の向上を図り、業績を向上させて「魅力ある職場」にしていきたいと考えています。
ただ、あくまでベースとなるのは「企業は人」という経営信条です。これを共有しながら「社員が主役の企業」づくりを追及し、その中で見えてくる課題を解決していきます。「胎動塾」はマンネリ化しているのではという懸念もありましたが、それでも続いてきたのは、他の部署や社員が何に悩んでいるかが分かることで情報共有や部門間の連携につながり、発表の中から会社が成長するヒントを見つけることができたからです。
この20年間、社員一人一人も企業として大きく成長してきたと強く感じています。DXやAIといった新しい手法を取り入れて基本となる技術力の向上に励み、未来に向かって挑戦を続けて、仲間と共に成長の更なる高みを実感できる企業を目指していきます。

Company data企業データ
- 株式会社トーケン
- 代表取締役:伊野 博俊
所在地:石川県金沢市入江3-25
従業員数:83名(2025年4月現在)
創業:1970年
資本金:7,000万円
事業内容:建設総合サービス業 (建設・不動産開発・賃貸マンション・環境関連事業)
企業HP: https://www.token-web.com/
Company case企業事例
学び・学び直しに取り組む企業の事例をご紹介いたします。
各企業が抱える課題や成功のポイントについて具体的な内容を掲載しておりますので、是非ご参照ください。
事例は順次追加予定です。

