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両備ホールディングス株式会社

2026年6月29日

時代に合わせて社員の成長を促す制度も絶えず変化

両備ホールディングス株式会社

事業内容:交通運輸(バス・トラック)・自動車整備・空港サービス・スーパーマーケット事業・不動産等

業種
陸運業ほか
地域
岡山県
従業員数
1,000人~4,999人
取り組みの概要
  1. ポイント1

    直面していた課題

    • 過去には、マネジメント教育が不十分なまま管理職に登用される社員も
    • 社員が現場を離れて研修を受講することに積極的ではない管理職の存在
    • 若手の成長機会は「青年重役会」が主体で限定的
  2. ポイント2

    取組と成果

    • 職位別の研修受講を昇格条件とし、自己研鑽の意欲を喚起
    • 研修センターの整備・充実を通じて学ぶ機会の重要性が浸透
    • 若手には年齢・属性別のキャリア形成制度で企画立案等を経験できる機会を作り、様々な提案が生まれる
取り組みの成果
時代に合わせて社員の成長を促す制度も絶えず変化

※本記事の内容、役職、部署名は取材当時のものです

岡山県を拠点に、祖業の交通業に加えて物流、自動車整備、空港サービス、スーパーマーケット、不動産、都市開発と幅広く事業を展開する両備ホールディングス株式会社。社員の学びと経験、スキルアップの機会を作り、時代に合わせて変化を続けてきた施策と、利用した社員の声をご紹介します。

研修センターを開設してキャリアパスに必要な研修を整備

取締役上席執行役員CHRO 
人財本部本部長の山田さん
取締役上席執行役員CHRO
人財本部本部長の山田さん
ヒューマントレジャーセンター 
センター長の江本さん
ヒューマントレジャーセンター
センター長の江本さん

当社は、1910年に西大寺鉄道として誕生以来、トランスポーテーション&トラベル部門(交通運輸観光事業)、ICT部門、くらしづくり部門(生活関連事業)、まちづくり部門(都市開発・不動産事業)の4分野を軸に事業を展開する両備グループの中核企業です。素早い経営判断による事業の運営を可能にするため、当社独自の社内カンパニー制を採用しており、人事等に関しては「両備経営サポートカンパニー」が各カンパニーを支援しています。

人材育成は現在「ヒューマントレジャーセンター」という研修機関が、新人から管理職までの階層別、事務職・技術職等の職種別と、すべての社員の教育を行っています。

当センター開設前、昭和の中期は、事業の主軸であるタクシーやバス、トラックのドライバー向けの研修を行っていました。しかし、1985年になると、当時の主流であった年齢や勤続年数といった年功による処遇ではなく、能力の研鑽やプロセスを重視する「能力主義的安心雇用」を掲げて、社員が自ら学んでスキルや知識を身に付ける場を提供しようと、研修の対象をホワイトカラーにも広げて「ヒューマントレジャーセンター」の前身である「両備教育センター」を設置しました。

そこでの講師は、汎用的な研修が中心になる外部の機関に依頼するのではなく、社内にいる各分野のトップランナーが務め、先輩が後輩に教える形をとっていました。しかし、社内講師のこれまでの成功体験がいつまでも通用するとは限らないため、これから時代が変化しても対応できる社員を育成する研修を目指して、外部講師を活用することを前提にカリキュラムを全て作り直し、2018年には両備教育センターを改組し、事務系社員の人財育成を主とする「ヒューマントレジャーセンター」と、乗務担当社員の安全教育を担う「SSP-UPセンター」を新たに設立しました。

現在、「ヒューマントレジャーセンター」では専門職から事務職、管理職クラスまで合わせて約100コースを用意し2,000名程度の社員が受講しています。職種別に「キャリアパス制度」を設け、6つの等級毎に人材像を明確にして必要な知識やスキルを学べるようにカリキュラムを設計しました。

以前より、管理職に登用された社員の能力にバラつきが生じているという問題があったので、昇格には所定の研修を受講することを条件にしました。例えば一般社員の等級「G-2」から主任級の等級「G-3」に昇格するにはコミュニケーションやチームワークの初級、業務改善入門ほか5つの研修を、係長級の等級「G-4」から課長級の等級「G-5」に昇格するためにはリーダーシップやハラスメント、財務等5つの研修の受講を必須としました。

また、カリキュラムを刷新する際に見学した大手企業の研修センターが会社の経営方針や企業理念の研修に力を入れていたことから、経営理念は繰り返し伝える必要性を感じたため、新入社員から管理職層に至るまで全社員に対して定期的に経営理念に関する研修をカリキュラムに組み込んでいます。

昇格に必要な研修の受講は自分で申し込む形にしており、社員が自ら学ぼうとする意識付けにつなげています。研修講師は社内講師のほか外部機関にも依頼していますが、毎年同じ内容や講師を続けるのではなく、受講者の評判や満足度調査等を活用して常に見直しを行っています。

研修体制を一新し、より良いものにしていくことで、これまで社員が現場を離れて研修を受講することに積極的ではなかった上司が、今はしっかり送り出してくれるという話を耳にするようになりました。社員が成長するには、目の前の業務に習熟するだけではなく学ぶ機会を作ることも大切だという考え方が、社内に浸透してきたのではないかと感じています。

若手社員に特化したキャリア形成制度で成長の機会を創出

「KiraRi☆」の活動内容(一部抜粋)
商品企画からグループ内交流、情報発信など、多様な活動を自由に行う
「KiraRi☆」の活動内容(一部抜粋)
商品企画からグループ内交流、情報発信など、多様な活動を自由に行う

若手社員向けに、年齢・属性別のキャリア形成制度を設けています。

まず「新入社員5か年育成計画」に沿って全員が共通の研修等を受講した後、主に25歳以下の社員が4,5人ずつのグループに分かれて各カンパニーやグループ各社の事業内容を知る活動「U-25(アンダー25)」を行い、成果をまとめます。

次に、特定の社員(主に30歳以下)を選抜した「U-30(アンダー30)」で、新しい商品の企画や業務改善等のアイデアを提案する活動を行います。これらに加えて、若手の女性だけで構成する組織「KiraRi☆(キラリ)」と、将来経営を担う人材を選抜・育成する「両備グループ青年重役会」(通称「JB」:Junior Board)があります。

当初は「JB」だけでしたが、社員が40歳くらいになって突然選ばれるのではなく、若い年代から少しずつグループや事業内容の理解を深めながら段階的にスキルを高められるように、「U-25」「U-30」「KiraRi☆」を随時追加して現在に至っています。

「KiraRi☆」は、「U-30」の提案で2012年に誕生しました。豊かな感性を持つ女性が活躍できる場を増やして、輝く女性リーダーを生み出したいという想いから「キラッと両備」を略した名称にしています。そのため、会社から指示をするのではなく、メンバーが自由な発想で活動できる環境にしており、経験者がオブザーバーとなってサポートしています。

対象は20代を中心とした女性社員で、自薦と他薦でメンバーを構成。活動は1年間で、商品開発を始め、グループ内や各カンパニーの交流企画、社員を「キラリと輝かせる」取組等を行っています。

生活者視点、とりわけ女性のリアルな感覚を事業やサービスに反映する取組の中で、企画を立案・実行する経験を積み、スキルアップや社内ネットワーク作りにつなげています。

「JB」には、海外視察も行うなど知見を広めスキルを高める機会が数多くある
「JB」には、海外視察も行うなど知見を広めスキルを高める機会が数多くある

「両備グループ青年重役会(JB)」の歴史は古く、1960年に始まったものです。将来経営を担う人材を育成するために、管理職研修を修了した社員の中から自薦と他薦でメンバーを構成。重役会からグループ経営に関する諮問を受けて1年間調査や企画の検討を行い、最後は会社に答申をします。活動は自由に行うことができ、同業他社や異業種との交流、海外視察も実施しています。

これまで「JB」が会社に提案した内容には、実際に社内の制度や新規事業として採用されるものもありました。例えば社員共通のポイントが貯まるマイレージ制度は現在の社員カードに引き継がれています。30代以下の若手社員を対象としたグループ横断のプロジェクト「U-30」や、岡山市北区にあるコワーキングスペース「TOGITOGI」も「JB」の答申から誕生しました。このように、事業の拡大や社内の活性化に向けた提案を通じて、経営的な視点やスキルを高める機会を作っています。

管理職や経営を担う人材を育成するという観点から最近始めた取組に、他社との人材交流があります。グループ内では異動等による人材交流を行っていますが、つながりのある他の企業と交換留学のような形で希望する社員に相互に出向してもらい、社内では得られない経験を得る機会を作ろうという試みです。立候補してくれた社員は知らない会社に行くので、勇気のある行動だったと思います。

これを単発的な人材交流に留まらず、いずれは管理職や経営人材を登用する際のステップにしていければと考えています。

社員の声①「KiraRi☆」でグループ社員と一緒に企画を形に

両備グループ経営戦略本部 両備グループ広報部スペシャリストの小埜さん
両備グループ経営戦略本部 両備グループ広報部スペシャリストの小埜さん

「KiraRi☆」の活動に参加して良かったのは、普段なかなか接することのない他のグループ会社の社員と一緒に企画を形にする経験ができたことです。異なる事業に携わっている社員と活動しながら横のつながりができていくのが本当に楽しくて、メンバーは月1回のミーティングを心待ちにしていました。

活動に制約等はなく、企画を進める上で誰に相談したらよいか等の助言は先輩メンバーのオブザーバーからもらいましたが、自分達のやってみたい企画を自由な発想で取り組むことができました。

私は担当業務である広報に関連してPRプランナーという資格を取りましたが、受験に当たっては上司が全力で応援してくれました。「KiraRi☆」の活動を含めて、当社には自分のスキルが磨ける環境があると思っています。

社員の声②「JB」で仕事の幅と視野が広がり、仕事が楽しく

両備グループ経営戦略本部 アグリビジネス推進部マネージャーの高橋さん
両備グループ経営戦略本部 アグリビジネス推進部マネージャーの高橋さん

私は一昨年「JB」の活動に参加しました。子供が2歳の保育園児で、男性メンバーも共働きで子供の面倒を見る必要がある等、時間の制約がある中での活動だったので、日常業務がある中でいかに効率的に活動して実りのある提案ができるかが課題でした。また、「JB」を引き受けると大変なので推薦されても参加したくないという社員の声も聞こえていました。そこで提案したのが、「JB」の制度改革です。

週1回の短時間でミーティングを設定、グループ各社へのヒアリングや資料作成等の工数を記録して「JB」の活動に必要な時間を算出し、1年間の期間を半年延長する提案をしました。また海外視察といった、時間的制約のある社員に難しい活動は選択制にして、予算を別の用途に活用する等、「JB」を柔軟性のある取り組みやすい形にする内容を盛り込みました。提案は採用されましたが、期間延長等といった方法ではなく、「JB」制度そのものの見直しが行われています。

私が活動中にこだわったのは、大変そうな「JB」でも自分の気持ちがあれば取り組めるという姿を他の社員に見せることです。実際活動してみて、確かに時間のやりくりは大変でしたが、会社の許可を得てフレックスタイム制の時間外に行われる発表会に子供連れで参加したり、子供の体調が良くない日はリモート会議を活用したりする等の工夫をしました。また、これまで最終提案の発表は経営層に対してのみ行っていましたが、私達の代からはウェブで配信して一般の社員でも視聴できるようにすることで、制度が変わろうとしている様子を発信しました。

「JB」の活動を通じて、仕事の幅と視野が広がったと感じています。自部門とは異なる他社の事業内容を知りビジネスの仕組みを理解することで、新商品の開発や新しい商流の開拓、業務改善の着想を得ることができました。また、グループ内に新たな人脈ができて事業の売上伸長に結び付いたり、新しいことをやる際に他の部門にも声をかけやすくなったことで、自分自身にとっても所属する部門にとってもレベルアップにつながった実感があり、「JB」に参加できて良かったと思いますし、仕事がより楽しくなりました。

社員の声③出向経験から、会社の魅力を高める研修の充実へ

両備経営サポートカンパニー人財本部 人事部の井上さん

私は両備グループの松田敏之CSOが社外取締役を務めている、広島県が本社の常石グループ株式会社様へ、人事交流の形式で1年間出向で行ってきました。新卒で両備グループへ入社して丸10年を迎えるタイミングで、会社を辞めずに新しいチャレンジができるのは良い機会だと思い、立候補しました。

出向先の企業は国内のみならず海外に造船所を持っているため社内でも海外の方がたくさん働いていて、入居した寮でも同じ階は全員海外の方という環境も印象的でした。

業務に慣れてくるにつれ、一隻の大きな船を作るために多様な社員が連携しようとする姿勢が強く、また社員が幸せを感じられるように企業理念の共有や歴史を大切にしていることが分かってきました。

当社でも経営理念に関する研修は行われていますが、出向先の社員の方々の姿を見て、当社でも友人や家族に「両備はいい会社だ」と胸を張って言える社員を増やしていきたいと思いました。それには、人に紹介できるほど会社の魅力を高めるために、人事制度や研修をより充実させることが重要だと考えています。

1年間の出向経験で得られたネットワークを両備グループでも活かしていくと共に、会社が研修制度を充実させたり若手の成長機会を作る施策を行っていることを社内にもっと広めて、社員と共に成長できる会社を目指していきたいと思っています。

制度は生き物。立ち止まることなく変化を続けていく

このように積極的に取り組んでくれる社員がいるのは嬉しいですが、もっと自分自身のキャリアや将来を真剣に考える社員が増えることを願っています。そのために会社は費用の支援等、活躍の場や受け皿を整備していきます。現段階では、会社が作り上げた研修メニューと社員の望むものにズレが生じているかもしれず、今の制度で十分だとは思っていません。「JB」の改善提案があったように、時代の変化に合わせて変えるべき点は積極的に取り組んでいきます。制度は生き物なので、立ち止まることなく、社員の意見を聞きながら進んでいきたいと考えています。

本事例に該当する

職場における学び・学び直し促進ガイドラインのⅡ 労使が取り組むべき事項

Company data企業データ

両備ホールディングス株式会社
代表取締役:三宅 健夫
所在地:岡山県岡山市北区下石井2-10-12 杜の街グレース オフィススクエア5F
従業員数:約2,000名 ※グループ全体約9,000名
創業:1910年
資本金:4億円
事業内容:交通運輸(バス・トラック)・自動車整備・空港サービス・スーパーマーケット事業・不動産等
企業HP: https://www.ryobi-holdings.jp/

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