2026年6月29日
社員・管理職・組織に対して多面的に「キャリア自律」を支援
NTTドコモビジネス株式会社
事業内容:ICTサービス・ソリューション事業
- 業種
- 通信業
- 地域
- 東京都
- 従業員数
- 5,000人~9,999人
- 取り組みの概要
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ポイント1
直面していた課題
- グループ再編により、社員は仕事の仕方や考え方を学び直す必要が生じた
- キャリアコンサルタントが1対1で相談に応じているものの、より多くの社員に、より気軽に相談してほしい
- 管理職がキャリア教育を受ける機会が少なく、部下の相談にうまく応えきれない
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ポイント2
取組と成果
- キャリアを相談出来る複数の仕組みや行動を支援する施策で、社員のキャリア自律を支援
- 「キャリコン100本ノック」というイベントで、キャリアコンサルタントが参加者の質問に次々と回答、社員を勇気付け
- 管理職向けノウハウ集や情報共有の場作りを通じて、管理職のキャリアサポート力を支援
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- 取り組みの成果
- 社員・管理職・組織に対して多面的に「キャリア自律」を支援
※本記事の内容、役職、部署名は取材当時のものです
産業・地域DXのプラットフォーマーとして、法人向けの総合ICT事業を展開するNTTドコモビジネス株式会社。社員の自律的なキャリア形成のサポートに重点を置き、管理職や個別の部署も対象としている様々な支援策や取組の内容、社員の声をご紹介します。
「キャリア自律サイクル」に沿ったサポートメニューの提供

「どう伝えるか」を意識して業務に当たる
NTTドコモビジネスは、2025年7月にNTTコミュニケーションズが社名変更をした会社です。2022年のNTTグループ再編の際にNTTドコモグループ傘下となったことで法人事業のソリューション手段にモバイルの要素が加わり、更なる成長を目指しています。これまで、NTTドコモは主に個人向けのモバイルサービスの提供、NTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)は法人へのICTソリューション提供と、性質の異なる事業を展開してきたため、同じグループになることに伴って社員はこれまでと異なる業務知識や仕事の仕方・考え方を学ぶ必要が出てきました。またリモートワーク導入を始めとする働く環境の変化に、会社としてどう対応すべきか課題感を持っていました。
こういった状況を受けて、社員一人一人が自らの能力を発揮しきるための環境の整備が重要と捉え、2023年から自律的なキャリア形成のサポートを重点施策に据えて取り組み始めました。

そこで、社員が利用出来るサポートメニューを、当社が考える「キャリア自律サイクル」に沿って、「STEP1:自身/キャリアを考える」→「STEP2:視野を広げる」→「STEP3:行動する」というステップごとに用意しました。
「STEP1:自身/キャリアを考える」では、上司とのキャリア面談、キャリアデザイン研修、自己理解ツール等を用意して、キャリアについて知り、考える機会を設けています。またキャリアコンサルタントを社内に配置し、随時相談を可能にしています。
「STEP2:視野を広げる」では、社員一人一人が目指す姿や興味、状況に応じた情報を提供するシステムや、管理職が社員の相談に乗れるように支援するツール等があります。
「STEP3:行動する」では、資格取得や自己啓発の支援、新規事業創出プログラム、社内外のダブルワークといった施策によって、社員が自ら行動してキャリアを実現する場を提供しています。
これらは全て社内ポータルサイトに収録しており、いつでも閲覧が可能で、利用したいメニューがあれば申し込むことが出来ます。
社員がキャリアについて相談・行動する機会の提供

1カ月間ほぼ毎日キャリアに関するイベントを実施、配信する
社員がキャリアについて相談出来る機会として、社内にキャリア相談窓口を設け、4名のキャリアコンサルタントが常駐しています。キャリアコンサルタントは当社の社員ですが、倫理規定に則って守秘義務を遵守し、個人が特定出来る情報を他者に漏らさない独立した存在としているので、社員は安心して相談することが出来、多くの利用があります。
キャリア相談は1対1でしっかり行う必要がありますが、より多くの社員に、もっと気軽に「声を受け止めてくれた」と思えるような機会を作れないかというキャリアコンサルタントの意見から「キャリコン100本ノック」というイベントを企画しました。キャリアコンサルタントが参加者の質問に次々と回答し、その後少人数のグループに分かれてキャリアについて話をする時間を設けるという語りの会です。
悩みが多岐に渡るミドルシニアを対象として開催したところ、リアルで30人、オンラインで100人もの参加者が集まり、「アドバイスをもらえて理解が深まった」「モヤモヤが解消出来た」といった声がありました。
会社や上司からの言葉は説教じみた話として受け止められがちですが、キャリアコンサルタントに第三者の立場として「50代の人のキャリアの悩みが深いのは当然だ」などと言ってもらうと、社員にとって身近な言葉として感じられて勇気付けられるので、良い機会を作ることが出来たと思っています。
キャリアコンサルタントに対してだけではなく、様々な社員に対して気軽に相談出来る機会として、「ふらっと1on1」という仕組みも用意しています。NTTグループの人事施策である、社員が自ら異動先を希望して手を上げる人事異動制度「NTT Group Job Board」の導入に伴って始めたもので、役職や年齢、社歴、部署等関係なく、キャリアや仕事について相談に乗れる人を募って登録してもらい、社員はそのリストを見て話を聞いてみたい登録者に1on1ミーティングを申し込むことが出来ます。
出産や管理職を経験した女性の体験談、興味のある部署の仕事内容や必要なスキルなど、身近に経験者がいない社員にとって生の話を聞ける貴重な機会になっています。
なお、この「キャリコン100本ノック」や「ふらっと1on1」は、キャリアについて知り、考える機会として2026年で3回目となった「キャリフェス」でも実施し、より多くの社員に知らせて利用の機会を作っています。

これから力を入れようとしているのが、社員が自ら行動することでキャリアを開発していくのをサポートする「越境施策(NEKKYO)」です。その一つが、社内外でのダブルワーク。今の業務を継続しながら社内外の仕事に勤務時間の20%を充てることが出来、社内はドコモグループ各社、社外はベンチャー企業や中小企業を対象にしています。利用した社員は新しいスキルや知識、経験を得ることで、仕事の幅やキャリアの可能性が広がり、自己効力感の向上につながっています。
社員の声①「社外ダブルワーク」等で得たものを伝える伝道師になりたい

「やる気スイッチはみんな必ずあるので、それを押す機会やつながりを作るのが大事だと思います」
入社以来この会社しか見てこないまま30代になり、果たして自分は社外でどこまで通用するのかモヤモヤを抱えていたことから、思い切って「社外ダブルワーク」制度を利用しました。
京都で製造業を営む中小企業で4カ月間、週1回の社長ミーティングと、それに向けた資料作成等の業務に当たりました。日常業務で取り扱っているDXやAIの活用を提案したところ大変喜ばれ、先方の役に立つことが出来ました。
社外ダブルワークで最も感じたのが、自分は環境に恵まれているということです。先方に役立つ提案が出来たものも、NTTグループにいることでスキルを身に付けることが出来たおかげだと思います。「NTT」の看板を背負っていると、相手に安心感を感じてもらいやすくなるので、ブランドの力というものが身に染みました。今いる会社は外から見たら良い環境であることに気が付いて、会社に対するロイヤリティ(忠誠心・愛着)が高まりました。
会社が「キャリアの自律」と言い始めた時、最初は突き放された感覚がありましたが、会社はキャリアについて知る環境を用意してくれたので、気持ちが楽になりました。また、「社内外ダブルワーク」のようにチャレンジする機会があるので、アンテナを高くして制度を利用すれば得るものがあると実感しています。
ただ、制度を使うには知らないと行動を起こせませんし、行動を起こすにはきっかけが必要だと思います。私は、キャリアについて知る機会とチャレンジ出来る制度を利用してきましたが、今後は利用するだけでなく、そこで得たことを発信して周りの社員が行動を起こすきっかけを作る、現場での「伝道師」になりたいと思っています。
ノウハウ集と対話の場作りで管理職の悩み解消を支援

キャリアコンサルタントのノウハウをマニュアル化した管理職支援ツール
管理職は社員と日常的に接して能力を発揮してもらう役割であることから、社員とのキャリア面談を実施してもらっていますが、管理職自身がこれまでキャリアの教育を受ける機会が少なく、どう対応すれば良いか分からないという課題がありました。
そこで、管理職を支援するツールとして「発奮・スタンスセオリー」を作成しました。管理職が部下とのキャリア面談や指導に活用出来るよう、キャリアコンサルタントの知見を集約したもので、500ページに及ぶ解説資料、8分(発奮)で分かる動画(18本)、約700問のFAQを社内サイトに収録しています。
ここでは、社員が持つ悩みの傾向やパターン、新入社員・中堅・シニアといった年代別に、相談内容をどう受け止め、どのような情報提供をすれば社員の成長につながるか、対応例を交えて具体的に指南しています。

自ら手を挙げて異動を実現し、協力して社員の役に立てる喜びを感じながら管理職支援施策を推進

悩める管理職をサポートする情報を体系的に掲載
当社のキャリアコンサルタントは3,000人の面談実績から得た知見と相談ノウハウを持っていますが、守秘義務があるので個別の回答を公開することが出来ません。また社員がキャリアコンサルタントに相談しても悩みが100%解決するとは限らず、キャリアコンサルタントも社員と日頃接しているわけではないので距離感があります。
「発奮・スタンスセオリー」を活用してもらうことで、管理職もキャリアコンサルタントのように社員に寄り添ったアプローチが可能になり、両者が分業・協働するような形で社員のキャリアを支援出来る状態を目指しています。
管理職に対してはノウハウやツールの提供だけでなく、学びと対話の場も用意しています。その1つが課長以上を対象とした「Manager Meetup(マネージャー・ミートアップ)」というイベントで、年5回、1回当たり約2時間、オンラインで開催しています。
時節のテーマに合わせて外部講師を招き、講演後グループに分かれてワークやディスカッションを実施。講演内容は動画で残しており、当日参加出来なくても視聴が可能です。ここでは、日頃のマネジメントや部下指導を振り返ることによる気付きや、孤独になりがちな管理職同士の横のつながりが生まれています。
また、日常的な横のつながり作りや情報共有の場として、「マネサポ」というコミュニティサイトもSNSのような形で運営しています。2,000人近くの管理職が参加しており、情報共有の場として活用されています。
これらの情報は全て「Manager Support Site(マネサポサイト)」という管理職向けの社内サイトに掲載しています。部下の指導やキャリア支援に関する情報を体系的に集約することで、管理職が必要に応じてアクセスし活用出来る環境を整えています。
社員の声②社員が仕事を楽しく出来るように管理職を支援

自らの学びを基に、管理職が社員のキャリア相談に乗れるよう様々な施策を実行している
私自身これまでキャリア教育を受ける機会がなく、若手の方が知っているくらいで、まず自分が語れないといけないというところから学びがスタートしました。部下から「あなたはどうなの?」と質問されて答えられないと面談出来ないと思い、本社が開催してくれる研修を何度も受講し、「発奮・スタンスセオリー」をたくさん活用しました。
そこでは、若手向け、50代向け、個人別の関心といった様々なタイプに応じて、どのような情報提供や助言をすれば良いか、また部下との関係が悪くならないようにするにはどう言えば良いか、といった踏み込んだアドバイスをもらえるので、部下の相談に乗れるようになり、とても助かっています。
特に、キャリアには高いところを目指す「山登り型」と、やるべきことをこなしながら進む「川下り型」があるという話は目から鱗でした。管理職は立場上「部下に頑張ってもらわないといけない」と思いがちですが、本人の目指すキャリアの進み方はそれぞれなので、誘導せずに対話をしながら、本人に合ったやり方で仕事と向き合ってもらうことが大事だということに気付きました。
こうして学んだことを踏まえて、北陸支社では、管理職のキャリア育成力を強化するために、本社の協力を得ながら部下への支援スキル向上やツールの活用促進に取り組んでいます。近々、様々なキャリアのロールモデルを集めた座談会を開催する予定です。社員が自分のキャリアを考えて楽しく仕事が出来るようにしていきたいと思っています。
個人だけでなく個別の部署の取組もサポート

社員や管理職といった個人に対してだけでなく、良い事例を横展開する全社横断的な取組を通して個別の部署に対するサポートも行っています。
先に触れたNTTドコモグループの傘下となったのを機に、共に目指す組織文化を醸成して社員がパフォーマンスを発揮出来るよう働く環境を整えるために、「組織開発ワーキンググループ」(以下「WG」という。)を2023年に立ち上げました。全国の支社や各部署からメンバーを選任して、勉強会や課題の発見、解決に向けた取組や事例の共有といった活動を行っています。
会社全体として、社員のエンゲージメント調査結果をKPI(重要業績評価指標)に定めているのですが、その分析から「自分のキャリアを描ける」「活躍出来るイメージが持てる」といった「キャリア」に関するスコアが、「会社に誇りを持てる」「意欲的に会社に貢献出来る」という会社へのエンゲージメントに大きく影響していて、特定の層のスコアに差があることが分かりました。そこで、WGでも「キャリア」を重点テーマの一つとして扱うことにしました。

「楽しく働ける人が増えてくれたら」と願い、WGの運営に携わる
社員のエンゲージメント調査は、年齢や性別、階層といった細かい区分での分析が可能なので、支社や部署毎に課題の所在が明確になり、対策も講じやすくなります。例えば北陸支社では、「女性・30代・社員・基幹職・直販営業」で「自分のキャリアプランが描けているか」という設問のスコアが低いことが明らかになったのを受けて、対象社員への研修やカジュアル1on1といった施策を実行したところ、キャリアへの意識が高まり、エンゲージメントのスコアが向上しました。
WGでこのような事例を紹介することで、支社や部署が参考にして自分達でもやってみる、というように取組が広がっています。本社や経営幹部からの指示ではなく、参加メンバー同士で悩みや課題を共有して改善のヒントを見つけ、仲間として一緒に取り組む動きが生まれています。
社員と会社をつなぎ、両者の持続的な成長を生み出していく
自律的なキャリア形成のサポートを重点施策として3年が経ち、様々な情報の発信や支援メニューの展開によって、社内に「キャリア」という言葉が随分浸透してきたのを感じています。
情報やメニューは積極的に活用してほしいですが、会社としてはコストを投入して取り組んでいるので、社員個人の成長だけではなく、業績の向上等、組織としての成長にもつなげていく必要があります。
社員には「興味があることや新しいことに取り組みたい、何かに打ち込みたい、収入を上げたい」といった欲求があります。一方、会社には「業績を上げるために伸長が見込める事業に人員を充てたい、社員には専門性を高め時代の変化に合わせてスキルアップに励むことで貢献してほしい」というように、社員にも会社にもそれぞれ考えがあります。
この両者をつなぎ、双方の成長を導くのが「キャリア自律」に向けた取組だと考えています。
今取り組んでいる様々な施策を漫然と並べるのではなく、社員のやりたいことが事業の中でどう必要なのかを見せることで、社員が「自分のやりたいことが会社の中にある」と思えるようにしていくのが今後の課題です。社員が求めていることと会社が求めていることの架け橋となり、双方の持続的な成長を生み出していきたいと思っています。

Company data企業データ
- NTTドコモビジネス株式会社
- 代表取締役:小島 克重
所在地:東京都千代田区大手町2-3-1 大手町プレイスウエストタワー
従業員数:9,350名(2025年3月現在)
創業:1999年
資本金:2,309億円
事業内容:ICTサービス・ソリューション事業、国際通信事業及びそれに関する事業
企業HP: https://www.ntt.com/index.html
Company case企業事例
学び・学び直しに取り組む企業の事例をご紹介いたします。
各企業が抱える課題や成功のポイントについて具体的な内容を掲載しておりますので、是非ご参照ください。
事例は順次追加予定です。

