2026年6月29日
「自覚に勝る教育なし」チャレンジの意欲をかき立て、後押しする人事制度を更新し続ける
トラスコ中山株式会社
事業内容:生産現場で使用する工具や工場用副資材(プロツール)の卸売業
- 業種
- 卸売業
- 地域
- 東京都
- 従業員数
- 1,000人~4,999人
- 取り組みの概要
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ポイント1
直面していた課題
- 管理職に挑戦する制度は、年々マネジメントのハードルが高くなり、希望者も減少傾向
- 若手が責任ある役割や成果に見合った処遇を得る機会が限られていた
- 多様化する社員のキャリア観に対し、既存のコースがマッチしない場合も
-
ポイント2
取組と成果
- マネジメントを段階的に経験する制度によって幅広い層が挑戦、仕事への主体性も生まれる
- 人事考課における昇格ポイントの見直しで、昇格対象者が大幅増
- キャリアコースを5つ追加することで、多様なキャリアプランが可能に
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- 取り組みの成果
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「自覚に勝る教育なし」チャレンジの意欲をかき立て、
後押しする人事制度を更新し続ける
※本記事の内容、役職、部署名は取材当時のものです
日本のモノづくりを支えるプラットフォーマーを目指し、生産現場で使用する工具や工場用副資材(プロツール)の卸売業を展開するトラスコ中山。複数のチャレンジ制度をはじめ、多様なキャリアコース設定、ステージ別の研修、360度評価など、数々の人事制度を通じて、社員の意欲をかき立て後押しする仕組みをご紹介します。
「挑戦する社員を後押しする」複数のチャレンジ制度


当社の人事制度には、2つの柱があります。
1つは「ジョブローテーション」。部門をまたいだ異動を通じて幅広い実務経験と視点を養ってもらう、会社主導の制度です。当社の業務の基本である営業と物流は、ほぼ全ての社員が経験します。
もう1つは「挑戦を後押しする制度」。「自覚に勝る教育なし」という考えの下、社員が自分でキャリアを考え実現する機会として、複数のチャレンジ制度を設けています。
例えば、「オープンポジションチャレンジ制度」は、新設部門や増員が必要な部署が、欲しい人材を社内に公募する仕組みです。希望者は、上司に相談することなく自らの意思のみで手を挙げることができ、自身が貢献できることや思いを自薦文に込めて提出。人事部との面接で異動が実現します。
「トラキャリ申告」は、社員自身がどうなりたいか、どう働きたいかを考えて申告する制度です。異動希望だけでなく、今の部署で働き続けたいという申告も可能で、人事異動の参考にしています。年に2回、できたことや強み、改善点などを棚卸しして、社内でどんな存在でありたいか考える機会にしてもらうのが狙いです。
「ボスチャレンジ制度」(通称ボスチャレ) は、入社7年目以上の社員が、営業支店長や物流センター長、本社の課長といった管理職(=ボス)の補佐役に立候補できる仕組みです。
以前の管理職登用は、役員や部長クラスからの推薦や評判の先行といった属人的な要素が強いという問題がありました。そこで、本当にやる気のある人にスキルを磨いて管理職になってもらおうと、2006年にこの制度を始めました。
立候補するには上長の推薦が必要で、人事部の面談を経て合否を決定します。ボスチャレ期間中、管理職の補佐役としてマネジメントを学びながらスキルと経験を身につけ、正式に管理職になる準備をします。
任期は2年で、任期内に管理職に登用されなかった場合、再チャレンジは可能ですが、その前に上長と何が必要か話し合い、課題に取り組んだ上で臨んでもらいます。
新たな制度で、幅広い層からの立候補や主体的な取組が生まれる

「ボスチャレ」は、公募回数を年1回から4回に増やしたり、希望者は任期を1年延長可能にしたりする等、見直しながら運用してきました。
しかし、業績の拡大に伴って営業支店や物流センターの規模が大きくなると、マネジメントの範囲も広がり、「ボスチャレに応募するのはハードルが高い」という声が聞こえてきました。また近年では、管理職への昇格を敬遠する社会的な傾向も見受けられます。こうした状況を背景にボスチャレへの応募希望者も減少傾向にありました。
しかしながら、事業をさらに発展させていくためには、会社を牽引する人材の育成が不可欠です。
そこで、「ボスチャレ」のハードルを低くし、挑戦する意欲を高めようと2025年度から始めたのが「マネチャレ制度」です。
対象を入社5年目以上の社員に拡大して、「ボスチャレ」の前に業務リーダー等の小さなマネジメントを段階的に経験できるようにしました。
希望者は、自薦文に「チャレンジする理由」「マネチャレ生としてやりたいこと」等を記入してもらい、所属長との面談を経て参加を決定します。
すると、「入社4年目でも応募は可能でしょうか?」という問合せや、入社17年目の女性社員から「視野を広げたい」と立候補がありました。「マネチャレ制度」の導入により、幅広い層からの挑戦の声が上がったのです。想定していない層が自ら行動を起こしてくれたことは、大きな喜びでもありました。もちろん2人の挑戦を心から歓迎しています。

また、「マネチャレ制度」の導入により、社員の主体性にも変化が見られるようになりました。例えば、社内で公開している「経営会議議事録」を活用し、自ら勉強会の開催を申し出て部署内で実施するなど、一段高い視座で業務に取り組む社員も現れています。
本制度は、挑戦の機会を提供するだけでなく、社員一人ひとりが自律的に学び、組織全体の成長に貢献しようとする風土の醸成にもつながっています。
若い段階から挑戦と成長を加速する仕組み

研修制度にも、本人の意欲を高める仕組みを取り入れています。入社4年目までは、社会人としての基礎や実務スキルを身につけてもらうため、全員を対象に必須研修を実施しています。一方で、それ以降の役職登用につながる研修は立候補制としています。主任になりたい人は手を挙げ、研修受講後、社員からの投票で昇格の可否を決定します。
投票は、昇格オープンジャッジシステム(360度評価) で行います。社員が立候補者に「○×」を投票し、支持率80%かつ最低投票数を満たすと昇格。上位職の最低投票数を高くしており、役職と共にハードルが上がります。
「棄権」という選択もあり、普段の仕事ぶりを見ている人にだけ投票するよう呼びかけています。上司からの評価だけで昇格が決まるのではなく、日頃の姿勢や周囲からの信頼が公正に評価される仕組みを目指しています。
投票時に必須にしているコメントが本人にとってグサっとくる内容であっても、真摯に受け止めることが、自身が周囲からどう見られているのかを知る貴重な機会になります。
2024年には、人事考課における昇格ポイントの見直しを行いました。これまで、キャリアを積みながら昇格していく上で、昇格条件として設定している人事考課ポイントの基準が高く、昇格までに時間を要することが一つの課題となっていました。
そこで、社員がより早い段階から責任ある役割に挑戦し、キャリアを形成していけるよう、昇格に必要なポイントの基準を改定しました。これにより、これまでより少ないポイントで昇格できる仕組みとなりました。

この見直しの結果、昇格までのスピードが早まり、昇格対象者も増加しました。昇格が早まることで、昇給のタイミングも早くなり、社員のモチベーション向上にもつながっています。若いうちから責任ある仕事を経験し、その成果や役割に見合った処遇を得ることで、社員一人ひとりの成長と活躍を後押ししていきたいと考えています。
入社4年目~10年目前後の社員には、新入社員研修に「先輩社員」として参加する機会を設けています。部長クラスに期待する社員を推薦してもらい、本人の意思を確認した上で人選を行います。選ばれた喜びと、後輩をまとめ育成に関わる経験が、管理職を意識するきっかけになり、「マネチャレ」や「ボスチャレ」への応募につながっています。
「いくつになっても自分次第」学びに意欲的な人であふれる会社に


当社では、キャリアを選べるコースを設定しています。これまでコースは4つでしたが、多様化する社員のキャリアプランにマッチしない状況が生まれてきました。そこで、2023年にコースを5つ増やして、計9つの中から選択できるようにしました。
例えば、物流部門において、地域限定の「ロジス」コースは管理職にはなれませんが、2023年には地域の管理職を目指せる「ロジスエリア」コースと、住居変更を伴う異動があって、さらに上の管理職まで目指せる「ロジスキャリア」コースを増設しました。営業職に就きたい場合は、どのコースからでも「キャリア」コースや「エリア」コースへの変更が可能です。
当社は営業がメインの会社なので、入社時は大半が「キャリア(海外・国内)」コースで入社しますが、目指す方向性や結婚・介護などのライフイベントを加味して、「エキスパート」コースや「キャリア(地域)」コースを増設しました。
社員それぞれが描くキャリアプランやライフプランに応じたコースの選択を可能にしました。コースの増設に伴い給与体系も変えて、頑張りによって昇給も働き方も実現できる環境を用意しています。
また、当社では早くから定年延長を実施してきましたが、2025年からは定年を68歳とし、雇用延長は契約社員で73歳、パート社員は78歳まで勤務できるようにしました。本人の希望と人事考課等を加味して長く働けるようにしています。ベテランには頼られる喜びと働きがいを、若い社員には安心感を持って仕事に打ち込んでもらえたらと思っています。
今抱えている課題の一つは、管理職の間で「人材育成」に対する意識に差がみられることです。
管理職として社員を預かる立場になると、人材育成を日々の業務と結び付けて考える機会が自然と増えていきます。一方で、人材育成を十分に意識できていないケースもあると感じています。そうした状況は、配属される社員にとって望ましいものではありません。
そのため、管理職向け研修の強化を通じて、人材育成に対する意識や取組の質を高め、管理職間の差をできるだけ小さくしていきたいと考えています。

このように、当社は「挑戦する社員を後押しする」複数のチャレンジ制度をはじめ、意欲をかきたて挑戦できる機会を設けて仕組み化し、状況に応じて更新してきました。
今期、30歳という若さで本社課長になる人、また50歳で初めて支店長になる人が生まれました。年齢やタイミングに関わらず、「挑戦したい」という意欲を持ち、周囲からの信頼を積み重ねていけば、誰にでも活躍の場が開かれている 。私たちは、そうした風土が着実に根付きつつあると感じています。
様々な工夫や改善を重ねる中で、挑戦する社員は増えてきました。今後も、学びに対して意欲的で、挑戦をし続ける社員であふれる会社を目指していきます。

Company data企業データ
- トラスコ中山株式会社
- 代表取締役:中山哲也
所在地:東京都港区新橋四丁目28番1号 トラスコ フィオリートビル
従業員数:連結3,258名(2025年12月現在)
創業:1959年5月15日
資本金:50億2,237万円
事業内容:生産現場で使用する工具・工場用副資材(プロツール)の卸売業
企業HP: https://www.trusco.co.jp/
Company case企業事例
学び・学び直しに取り組む企業の事例をご紹介いたします。
各企業が抱える課題や成功のポイントについて具体的な内容を掲載しておりますので、是非ご参照ください。
事例は順次追加予定です。

