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LINEヤフー株式会社

2025年3月26日

従業員の意欲に会社も応え、
多彩な学び・学び直しの施策を展開

LINEヤフー株式会社

事業内容:インターネット広告、イーコマース及び会員サービスなどの提供

業種
情報・通信業
地域
東京都
従業員数
301人~
取り組みの概要
  1. ポイント1

    • 業務の課題に紐づいた講座の提供
    • データアワードなどの表彰制度を介した実践の場の拡大
    • 学びの成果を発揮できる実践の場や異動先ポジションを用意
  2. ポイント2

    • 学び・学び直しや柔軟な目標設定を1on1で支援
    • 他ポジションへの主体的な応募に伴うキャリアの整理
  3. ポイント3

    • 新任リーダー、新任部長向けにスタートアッププログラムを実施
    • 目標に対する柔軟なフィードバックのあり方を共有
    • マネジャーが直面する課題について、必要なタイミングで解決法を学べる「マネジメントポータル」を提供
取り組みの成果
様々な成長の機会を従業員が自律的に活用し、
主体的に学び、相互に学び合う環境が実現

※本記事の内容、役職、部署名は取材当時のものです

2023年10月にヤフー株式会社とLINE株式会社などが再編される形で誕生したLINEヤフー株式会社。インターネット業界を牽引する存在として多様な事業を展開するが、その革新的なサービスやプロダクトの創出は、社員の力によって支えられている。多様な事業のもと、多様な人材が活躍し、多様な成長機会があるという同社の取組について、人材開発・採用本部の本部長を務める中村有沙さんと、学び・学び直しによって大きな成長を遂げた木村華菜さんにお話を伺った。

変化の激しい環境下で求められる学びとは

同社が事業を展開するインターネット業界は、テクノロジーの進化とともに発展を遂げてきた。現在においても、生成AIの急速な進化などを受け、「変わり続けなければ生き残ることはできない」状況にあるという。

中村さん:社員一人ひとりが変化をポジティブに捉え、前に進んでいこうとするモチベーションやエネルギーを持つことが非常に重要だと考えています。当社のミッションを実現するには、変化に応じて社員が自律的に学び・学び直すことが欠かせません。

人事総務グループ 人事総務統括本部 人材開発・採用本部で本部長を務める中村有沙さん

多角的に事業を展開する同社では、従業員それぞれが業務ごとに異なる多様なスキルを身につける必要がある。

中村さん:インターネット業界は変化のスピードが非常に速く、その時々で必要とされるスキルや経験も絶えず移り変わります。一律の研修プログラムにとどまらず、様々なニーズに合わせた学び・学び直しの機会が求められるんです。

またコロナ禍以降は、リモートワークが浸透したこともあって、社員が自律的に学び・学び直しに取り組める仕組みづくりがより重要になった。このような課題のもと、同社は個々の学び・学び直しを促進する取組だけではなく、従業員が相互に学び合えるような制度や環境を整えていった。

学び・学び直しや学び合いを加速させた多彩な施策

ポイント1
業務の課題に紐づいた講座の提供、データアワードなどの表彰制度を介した実践の場の拡大

同社の学び・学び直しの取組を象徴するのが、会社の戦略や業務と紐づいたプログラムの提供や、「LINEヤフーアカデミアUniversity」だ。AI活用アカデミアやサステナビリティアカデミア、女性リーダークラスといったテーマごとに対象を定めたプログラムを展開している。また、LINEヤフーアカデミアUniversityは、従業員が自主的に参加できるプログラムを数多く提供し、自由に視聴できる動画コンテンツも含まれる。

中村さん:LINEヤフーではリーダーシップや専門性を高められるプログラムを提供し、オンラインでの各種コミュニケーションツールを利用して参加者同士で対話ができるような場の創出も行っています。LINEヤフーアカデミアUniversityは、社員が「手上げ」で参加することができ、みなさんリモートワークやフレックスタイム制もうまく活用しながら、勤務時間内に受講されています。

これらのプログラムは業務での課題に紐づいていることが多いため、学んだ内容を実践しやすいのだという。

中村さん:幅広い対象に当てはまる知識を教わるのではなく、実際に当社のサービスなどで活用された事例に紐づけて学ぶほうが、学びと業務を接続しやすいという声をよくいただきます。

オンラインでの受講でありながら、ブレイクアウトルームなどを活用してグループワークも実施するなど、社員同士が学び合える環境づくりにも力を入れている。

中村さん:多くのプログラムで社員自身が講師になっているということも、学び合いの促進につながっています。人事が企画する以外にも、専門スキルを持つ部門や社員から、「こういうプログラムをつくりたい」というお話をいただくことも珍しくありません。教える側にとっても、人に伝えるために自分の知識や技術を言語化したり、体系化したりする必要があるため、貴重な学び直しの機会になっています。

こういった学び合いについては、社内アワードの開催も大きな効果を発揮している。全社からデータ活用の優れた取組を集めて表彰する「データアワード」は、職種にかかわらず参加できるため、非エンジニア部門のエントリーや受賞も多いという。

中村さん:当社はインターネットを中心に事業を展開する会社ですので、エンジニアの社員だけではなく、営業部門やコーポレート部門といった幅広い部門の社員にも、専門性を持ってデータを活用することが求められます。良い事例を共有することで、社内の多様な部門に波及させていきたいと考えています。受賞したチームや社員には、他部門からからの問い合わせが入ることも多く、ナレッジの横展開が行われています。

データアワードの表彰式の様子

ポイント1、2
学びの成果を発揮できる実践の場や異動先ポジションを用意、学び・学び直しや柔軟な目標設定を1on1で支援

同社では従業員が自らのキャリアと向き合う機会も多く用意されている。

中村さん:これまでの経験を振り返って次の成長にいかすことを、自分ひとりでするには限界があります。そこで新たな気づきを得る機会として、上司との1on1を頻繁に実施しています。社員が個々に設定する目標についても、例えばアサインされるプロジェクトが変わったときには、その都度上司と部下で擦り合わせて修正できるようにするなど、柔軟性を持たせることを大切にしています。

検索サービスを扱う部門で活躍する木村さんも、1on1の際にキャリアや学び・学び直しについて相談した一人だ。

木村さん:毎週実施される1on1では、さまざまなサポートをしてもらいました。ChatGPTが公開されたときに、自分も生成AIを理解して活用できる人材になりたいと思い、直属の上司に相談したんです。そのとき、上司から生成AIについて学ぶプログラムを教えてもらい、また、生成AIに詳しい他部門の社員も紹介してもらえました。

転職経験のある木村さんは、以前は自力でセミナーや勉強会を探すのに苦労していたというが、いまは会社が用意してくれたプログラムに気軽に参加できるため、学び・学び直しへのモチベーションも高まったと笑顔を見せる。

検索カンパニー 検索統括本部 クオリティ・編集本部 クオリティ部 サーチクオリティ2チームの木村華菜さん

木村さん:以前は業務が忙しくて学ぶ時間を十分に確保できず、また、学んだことを実践する機会もなかなか得られませんでした。いまは業務時間内で学び、それをすぐ業務で活用できるといったサイクルがうまく回っているように感じます。

学んだことを実践するためのアプローチとしては、社内公募制度「LINEヤフー Job Challenge」を利用する従業員も多いという。

中村さん:募集中のポジションが社内のイントラネットやコミュニケーションツールでも公開され、従業員自らエントリーできるという制度です。社員一人ひとりが学び・学び直しの成果をいかし、自律的にキャリアを見つめ直してもらうために、挑戦できる機会は数多く用意しています。また、社内公募にエントリーする際は、社外から人材を採用するときと同様にレジュメなどの書類を書いてもらうのですが、それがキャリアの棚卸しの機会にもなっているようです。

ポイント3
新任リーダー、新任部長向けにスタートアッププログラムを実施、目標に対する柔軟なフィードバックのあり方を共有、
マネジャーが直面する課題について、必要なタイミングで解決法を学べる「マネジメントポータル」を提供

1on1などを通して従業員の学び・学び直しを手助けする立場であるマネジャーに対しても、同社では様々な支援を行っている。

中村さん:新任リーダーや新任部長となるタイミングで、マネジメントやリーダーシップ、人材開発について学ぶスタートアッププログラムを実施しています。

目標設定などについて1on1で上司と部下が擦り合わせていることはすでに述べたが、これはマネジャー向けの研修でも重視しているテーマだという。

中村さん:インターネット業界では環境の変化も早く、スピード感をもって、様々なプロジェクトや取り組みが行われます。評価の時期だけではなく、期中でもさまざまなタイミングでの擦り合わせが大切だということは、特に強調してマネジメント層に伝えています。また、マネジャー同士で人材開発や日々の業務での課題などを対話しながら振り返り、ともに学び合う機会も設けています。業務に関する課題はチームやプロジェクトによって様々ですが、「部署のチームビルディングをどのように行えばよいか」「ネクストリーダーをどう輩出していこう」といったように、共通する課題もたくさんあります。そういった課題について共有しあい、フィードバックやアドバイスを受けるといった学び合いが行われています。さらに、日々のマネジメントで直面する課題の解決法を、いつどのようなタイミングでも学べるように、マネジャーに必要な情報をまとめたサイト「マネジメントポータル」を社内イントラネット上で提供しています。

従業員同士の学び合いが大きな刺激に

以上で紹介してきたように、よりよい学び・学び直しの実現に向けて、同社では多様な取組を試行錯誤しながら進めてきた。課題解決に合致した学びの制度や環境を数多く提供したことで、社員の自発的・持続的な学び・学び直しも促進されている。

中村さん:自分に必要な学びをいつでも得られるということは、社員のみなさんにも評価されているようで、エンゲージメント調査などでも、成長への支援といった項目については良好な結果が出ています。

従業員同士がつながる機会を多くつくったことで、学び合いが活性化したのも特筆に値する成果だといえるだろう。

中村さん:変化し続けるインターネット業界の会社だけに、そこで働く社員の皆さんも「成長し続ける」という意欲は、もともと持っていたと思います。社員同士で学び合うことが刺激となって、その意欲がさらに高まり、より大きな成長や日々の業務のパフォーマンス向上につながっているのではないでしょうか。

従業員の学び・学び直しへの意欲を強く感じながら、今後も様々な成長の機会を提供していきたいという中村さん。会社の規模や業種が違っても、参考にしたい取組にあふれた事例となった。

社内のあちらこちらで自然と「学び合い」がはじまる

本事例に該当する

職場における学び・学び直し促進ガイドラインのⅡ 労使が取り組むべき事項

Company date企業データ

LINEヤフー株式会社
代表取締役社長 CEO:出澤剛
所在地:東京都千代田区紀尾井町1-3 東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井タワー
従業員数:連結 約28,000人(2024年3月時点)
設立:1996年
資本金:248,773,000,000円
事業内容:インターネット広告、イーコマース及び会員サービスなどの提供
企業HP: https://www.lycorp.co.jp/

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